2021/04/04

文献管理ソフトZotero ~アドオン編~

私がZoteroに入れたアドオンについて解説する。具体的には、Zutilo, ZotFile, BetterBibTeX, ZoteroQuickLookの4つである。アドオンで機能を追加できる点は、Zoteroの良いところである。



1. この記事の前提条件

1-1. 動作確認環境

私の使用環境や基本的な設定は、こちらの記事参照

1-2. ファイルの位置

zotero.sqliteなど(文献情報)と、文献pdfファイルのあるフォルダーの場所。

  • /Volumes/MYVOLUME/foobar/paperz
  • シンボリックリンク: /Volumes/paperz/Zotero
    ( -> /Volumes/MYVOLUME/foobar/paperz )

複数PC間でパスを共通化するために、共通のパスのシンボリックリンクを作っている。これは、ZotFileを使いつつsyncも行うためには、パスが共通化されているほうが便利だからである。詳細は文献管理ソフトZotero ~SyncとZotFile編~を参照。


2. Zutilo(独自ショートカット追加)

キーボードショートカットを追加したり、右クリックメニューを増やしたりできる。ただし私の環境では、一部のショートカットは設定できなかったり、機能しなかったりした。

  • インストール:Zutiloのwebサイト参照

  • 設定
    Tools > Zutilo Preferences

  • 設定例
    Show attachments: Cmd-Shift-Option-A
    (ファイルのパスが見れる)


3. BetterBibTeX(bibtex出力機能の強化)

3-1. 解説の前提

これはBibTeX出力する方法の解説である。BibLaTeXなどの場合は、適宜読み替える。

3-2. 特徴

  • 何をbibファイルに含めるか、含めないか、設定可能
  • Citation Key生成規則を自分でカスタマイズできる
  • あるCollectionに登録されている文献でbibファイルを作るとする。そのCollectionの中身の変更を、自動でbibファイルに反映することができる。
  • bibファイル自動更新機能を使う時でも、雑誌名の省略形が利用可能(某文献管理ソフトでは無理だったので、これは便利)

3-3. インストール

  • BetterBibTeXのサイトの説明に従ってインストール。インストール時は、とりあえずウィザードに従う(あとで変更できる)

3-4. 使い方

  1. 設定を変更(後述)、必要ならcitation key更新
  2. 参考文献をあるCollectionにドラッグして集める
  3. そのCollection上で右クリック -> Export collection
  4. bibに出力する無いようを選ぶ
    • Format: BetterBibTeX
    • Use Journal Abbreviation (雑誌名を省略形にするか)
    • Keep Updated (Collection更新時にbibファイルも更新)
  5. OK を押す
  6. bibファイル保存先を選ぶ

3-5. 設定例(抜粋。残りは画像参照)

Zotero > Preferences > BetterBibTeXタブ

  • Citation keysタブ

    • Citation keys
      • Citation key format: [auth:lower][veryshorttitle][year]
        この例だと、LaTeXのcitation keyは、著者名(小文字)+タイトルの1単語目+年号
        書式はJabRefと共通 (BetterBibTeXのサイトも参考に)
        • Force citation key to plain text
    • Quick copy/drag-and-drop citations
      • QuickCopy format: Cite Keys
        (これはZoteroの設定で Exportタブ > QuickCopy > Default Format: Better BibTeX Cite Keys Quick Copy選択時に有効)
  • Exportタブ

    • BibTeX
      • Export unicode as plain-text latex commands (recommended)
    • Fields
      Fields to omit from export (comma-separated): note, file, extra, abstract, annotation
      (出力しないものを指定。urlなどに%が混ざっていると、latexコンパイルの時にコメント扱いになり、エラーになるので)
    • Miscellaneous
      • Automatically abbreviate journal title if none is set explicitly
  • Automatic Exportタブ

    • Automatic export: On Change (Collectionの中身が変更されると、bibファイルも更新される)
      (ここでOn Changeを選択しても、bibを実際に出力するタイミングで、自動更新の有無を選択できる)




3-6. Tips

  • Tip 1: Citation key の変更
    BetterBibTeXはすべての文献にcitation keyを割り当てる。この時、漢字の著者名は中国語読みの英語表記になる。keyを変えたければ、文献ごとに文献情報のExtra欄に、例えば次の例のような文言を追加する。
    Citation Key: akechi2017kogorou
    ちなみに、Extra欄の内容を消さなくても大丈夫。末尾で改行後、Citation Key: ...を追加すればよい。

  • Tip 2: タイトルの下付き・上付き文字などをbibファイルに反映
    例えば下付き文字の場合は、右ペインの文献情報のタイトルを次のように書き換えれば良い。
    NH<sub>3</sub> -> NH3
    つまり、htmlタグの形で書けば良い。上付きなら、<sup>~</sup>、斜体は<i>~</i>。


4. ZotFile(pdfファイルの整理方法をカスタマイズ)

ZoteroのCollectionと同じ名前、構成のフォルダーを作成し、pdfファイルをそのフォルダ配下に移動・コピーするために私は使用している。これでZoteroに頼らなくても、File ExplorerやFinderからでも文献を見つけやすくなる。

4-1. インストール

こちらのサイト参照

4-2. 設定例(抜粋。詳細は画像参照)

Tools > ZotFile Preferences...

  • General Settingsタブ

    • Location of Files
      • Custom Location: /Volumes/paperz/Zotero
        シンボリックリンクを入力することが可能。複数PCでpdfの場所を共通にする時シンボリックリンクは便利。
      • use subfolder defined by: /_undefined/%c/%{%F_}{%t}{(%y)}
        _undefined/Collection名/著者_タイトル_(年)
        というフォルダに、文献pdfが移動するようになる。
  • Renaming Rulesタブ

    • Use Zotero to Renameのチェック外す(renmaeにZotFileを使いたいから)
    • Format for all Item Types except Patents {%F_}{%t_}{%s|%j}{%v}{(%y)}{%f}
      (ファイル名を好きなように設定できる。詳細はアドオンのサイト)
      (この場合は、著者_タイトル_ジャーナル名ボリューム(年)ページ.pdf)
    • 他にも、著者人数や、タイトル字数など、色々設定できる。




5. ZoteroQuickLook(pdfをざっと見る)

5-1. 特徴
  • pdfをパッと表示して、次々ざっと見ていって目的のpdfを探すのに便利です。
5-2. インストール
  1. https://github.com/mronkko/ZoteroQuickLook のReleasesページからファイルDL
  2. Zoteroにて Tools > Add-ons
  3. Add-onsマネージャーに、DLしたファイルをドラッグ
5-3. 使い方

Zoteroのアイテムを選択 → スペースキーで表示 → スペースキーで表示閉じる → 上下キーで次のアイテムを選択 → 繰り返し

注意:Zoteroのアイテム内にpdf以外のもの(snapshotのhtmlとか)が含まれる場合は、「+」キーでアイテムを展開して、pdfファイルを選択してから、スペースキーを押す。pdf以外のものが含まれないことが最初から分かっている場合は、アイテムを展開する必要はない。